国内旅行業務取扱管理者資格講座 2016年度問題の解説【約款5】
<標準旅行業約款>
募集型企画旅行契約の部
「契約内容の変更・旅行代金の額の変更」に関する出題です。
旅行において(出発日前後に関わらず)、契約内容と違うって思ったことはありますか?
その時、「このお金って返ってくるのかな?」って思いますよね。
契約書面と確定書面の性質の違いについては前回解説しましたが、旅行会社はどの時点での約束を守らなければならないのか、やむを得ず変更になった場合はどれくらいの範囲で代金の変更が許されるのか、そのあたりも含めてよーく理解していきましょうね!
今回も過去問に従って解説を進めていきます。
問題文と解説、そして最後に回答を書いています。
それでは、早速見ていきましょう。
<問題5>
募集型企画旅行契約の部
「契約内容の変更・旅行代金の額の変更」に関する次の記述から、正しいもののみをすべて選んでいるものはどれか。
a.旅行業者は、天災地変その他の旅行業者の関与し得ない事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施を図るためやむを得ないときは、旅行者にあらかじめ速やかに当該事由が関与し得ないものである理由及び当該事由との因果関係を説明して、旅行日程、旅行サービスの内容その他の契約の内容を変更することがある。ただし、緊急の場合において、やむを得ないときは、変更後に説明する。 b.A市からB市への移動に際し、契約書面に記載した航空便の欠航によりB市に移動できず、やむを得ずA市に宿泊することになった場合において、それに伴って旅行の実施に要する費用の増加が生じたときは、旅行業者は、当該変更に係る理由を旅行者に説明し、その増加する費用の範囲内において旅行代金の額を変更することがある。 c.旅行業者は、旅行を実施するに当たり、利用する運送若しくは宿泊機関について適用を受ける運賃・料金が、著しい経済情勢の変化等により、旅行の募集の際に明示した時点の運賃・料金に比べて、通常想定される程度を大幅に超えて増額又は減額される場合においては、その増額又は減額される金額の範囲内で旅行代金の額を増加し、又は減少することができる。 ア.(a,b) イ.(a,c) ウ,(b,c) エ.(a,b,c) |
<解説>
◎契約内容の変更について 原則:あらかじめ速やかに説明をしなければならない 例外:緊急でやむを得ない場合は事後の説明でもOK ※旅行者の承諾なく変更することが出来ます。 ◎旅行代金の変更 交通サービス機関の料金の変更により、増額された範囲で代金の変更ができる。減額は減額された金額をそのまま減額すること。宿泊機関の場合は旅行代金を変更することは出来ません。 |
<問題の解説>
段々と文章が長くなってきましたが、よく読んで回答して下さい。
今回は正しいもののみをすべて選んでいるものはどれか、という問題です。
a.→正しいといえます。 契約内容の変更について、基本は「あらかじめの説明」ですが、「緊急の場合において、やむを得ないときは、変更後に説明」しても構いません。あくまでも旅行者(お客さま)の安全等が優先されます。 b.→正しいといえます。 今回のケースは「契約書面に記載した航空便の欠航により」といった、「旅行会社が関与することが出来ない理由」によるものですから、「当該変更に係る理由を旅行者に説明」した上で旅行者の承諾なく代金の変更をすることが可能になります。 c.→誤りです。 「通常想定される程度を大幅に超えて増額又は減額される場合においては、その増額又は減額される金額の範囲内で旅行代金の額を増加し、又は減少することができる。」→適用される運賃が著しく増加された場合、その増加額の範囲内で増額することは可能ですが、同じように減額された場合は、その減額の範囲内とはいきません。 例えば交通機関がサーチャージが5000円下がった場合、お客さまに1000円しか値下げをしなかったらどうでしょう?残りの4000円は旅行会社の利益となってしまいます。旅行業法では、「お客さまのために」と規定されていますが、この対応はお客さまのためになりますでしょうか? もうひとつ。代金の変更ができるは運送サービスだけであり、宿泊機関の変更は代金への反映をすることは出来ません。 以上のことから、正解はaとbでありますから、選択肢はア.ということになります。 |