国内管理者2016 標準旅行業約款14:募集型企画旅行契約の部及び受注型企画旅行契約の部「旅程保証」

国内管理者2016 標準旅行業約款14:募集型企画旅行契約の部及び受注型企画旅行契約の部「旅程保証」

国内旅行業務取扱管理者資格講座 2016年度問題の解説【約款14】

<標準旅行業約款>
募集型企画旅行契約の部及び受注型企画旅行契約の部
「旅程保証」に関する出題です。

標準型、受注型ともに共通して定められている「旅程保証」についての問題です。
企画旅行では、旅行業者が関与し得ない様々な要因によって契約内容が変更になることがあります。例えば運送機関の変更、オーバーブッキングによる様々なサービスの変更、欠航や運休などが考えられますが、そのような諸設備の変更に対する補償のルールが旅程保証です。変更補償金なども含めて学んでいきましょう。
今回も過去問に従って解説を進めていきます。
問題文と解説、そして最後に回答を書いています。
それでは、早速見ていきましょう。
<問題14>

募集型企画旅行契約の部及び受注型企画旅行契約の部
「旅程保証」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(いずれも変更補償金の額は、約款に定める支払いが必要な最低額を上回っているものとする。)。
ア.旅行業者が、変更補償金の支払いが必要となる契約内容の重要な変更が1件生じたことを旅行開始日に旅行者に通知した場合、旅行業者は、旅行代金に約款に定める「旅行開始後の1件あたりの率(%)」を乗じた額以上の変更補償金を旅行者に対して支払う。
イ.旅行業者は、変更補償金を支払うべき契約内容の重要な変更が生じた場合は、当該変更を旅行者に通知した日から起算して30日以内に変更補償金を支払う。
ウ.運送・宿泊機関等が当該旅行サービスの提供を行っているにもかかわらず、運送・宿泊機関等の座席、部屋その他の諸設備の不足が発生したことによって契約内容の重要な変更が生じた場合は、旅行業者は、旅行者に対して変更補償金を支払う。
エ.旅行業者が変更補償金を支払った後に、当該変更について旅行業者に責任が発生することが明らかになった場合には、旅行者は当該変更に係る変更補償金を旅行業者に返還しなければならない。この場合、旅行業者は、支払うべき損害賠償金の額と旅行者が返還すべき変更補償金の額とを相殺した残額を支払う。

<問題の解説>
今回は「誤りをひとつ」選択する問題です。
4つのうち3つが正しいといえますが、ひとつひとつ解説していきます。
ア.「旅行開始日に旅行者に通知した」→変更補償金は、旅行開始前・後で1.0~5.0%の率(を旅行代金に乗じて算出する)で定められています。今回は、旅行開始日に通知したことから(原因はこの問いでは記載がありません)、既に旅行が開始されていると理解して、「旅行開始後の1件あたり」が適用されます。よって、正しいといえます。
イ.「当該変更を旅行者に通知した日から起算して30日以内」→変更補償金の支払期限は、旅行終了日の翌日から起算して30日以内です。問題では「旅行者に通知しした日から」と書いていますので、これは誤りですね。※誤りが判明しましたが、全て解説していきます。
ウ.「諸設備の不足が発生」→俗にオーバーブッキングと呼ばれるケースです。オーバーブッキングによる契約内容の変更は変更補償金の対象となります。正しいといえます。
エ.「変更補償金を旅行業者に返還しなければならない」→例えば、変更補償金の額が5000円だったとします。旅行業者が5000円を支払った後、旅行者が損害賠償金の訴訟を起こしたとします。結果、判決が15,000円の損害賠償金の支払いを裁判所が命じた場合、旅行者は先に受け取った変更補償金の5,000円を一旦旅行業者に返還しなくてはなりません。そした新たに損害賠償金として15,000円を受け取らないといけないですよという意味なのですが、続く文章で、「支払うべき損害賠償金の額と旅行者が返還すべき変更補償金の額とを相殺した残額」と書かれています。これは、一旦返還する手続きが煩雑な場合は、残金を相殺して支払ってもいいですよ、ということが書かれています。
いずれにしても、変更補償金と損害賠償金は合計されるのではなく、損害賠償金に変更補償金は含まれるというように理解して下さい。
 
以上のことから、正しい解答はイ.ということになります。
 

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